むかしむかし、もんもん太郎という若者がいました。
もんもん太郎はいつももんもんとしています。
育ての親であるおじいさんおばあさんが「お前は桃から生まれたからもんもん太郎なんだよ」と教えてくれましたが、(それなら“もも太郎”でよくない?てか桃から生まれるとかありえねーだろ?)といつももんもんとしていました。
そんなもんもん太郎もある程度立派な青年になりました、その頃、もんもん太郎の暮らす村には年に一回くらいのペースで鬼たちが現れ、そこに暮らすおじいさんおばあさんたちに飲みすぎて暴言を吐いたり、メガホンを投げつけたり、川に飛び込んだり、熱狂的な野球ファンのような嫌がらせをしにやってきていました。
村に住む者はみな、10月ごろのプロ野球シーズンが終わる頃にくるもんだから自分のひいきのチームがなかなか優勝できなくてこっちに腹いせに来ているんだとほとほと困っていました。
そんななか、村唯一の若者であるもんもん太郎に白羽の矢が立ち、鬼たちを退治してくれないかとの相談が入りました。
もんもん太郎は、まごうことなくもんもんとし始めます。
・鬼たちはたしかに嫌がらせに来る、しかし年に一回だけ
・嫌がらせとは言っても何かを盗むでもなく、誰かに暴力を振るうでもない
たしかにあいつらはロクでもない奴らかもしれない、たぶんセリーグのどっかのチームを応援しているに違いない。
しかし退治をするほどのことなのか?
もんもんとします。それはもうもんもんと。
1ヶ月ほどもんもんした結果、もんもん太郎は鬼退治に行くことにします。
その理由は、もんもん太郎のおばあさんが病で倒れ、もんもん太郎に「もう私は長くない、だから自分で生きていけるように仕事をしてほしい、爺さんなんか今じゃあんなしてるけど若い時はバリバリの芝刈り職人でね、当時はシバカリヤーなんて言われてチヤホヤされたもんだよ」なんていつものつまらない長い昔話をされ始めたもんだから、鬱陶しくなって村を出たくなってその大義名分として鬼退治に行くことにしたのです。
とはいえ、もんもん太郎にはなんの特技もない。
どうしようどうしようともんもんしていたところに一匹の犬が現れます。
「どうしたんですかもんもん太郎さん、え?そんなことが?え?それはひどい、、阪神ですかね?え?それはわからない?失礼しました。。」
犬が仲間になりました。
とはいえ、犬って言ったって噛むとか吠えるとかしかできることがないのでは、もんもん太郎はまたもやもんもんとし始めました。
そんなときに一匹の猿が現れます。
「もんもん太郎のアニキ、話は聞きましたよ、大変でしたねおばあさん、、え?まだ生きてる?こりゃ失礼しました。。」
猿が仲間になりました。
犬と猿を仲間にしたはいいものの、なかなか鬼を退治するいいアイデアが浮かんできません。もんもんたろうのもんもん具合といったら結構ややこしい感じになってまりました。なんかもう、結構めんどくさい奴です、もんもん太郎は。
そんな折に、ふらっとキジが目の前にやってきました。
「ヒック、、もんもんたろさん、困ってるんでしょ?助けてやりますよ、、え?ヒック、俺じゃ役に立たないって?バカにしないでくださいよ!ヒック俺だってやるときゃやるんですから!え?酔っ払ってないかって?バカにしないでくださいよ!」
キジが仲間になりました。
そこでもんもん太郎は気づいたのですが、行く前におばあさん渡されていたきび団子を忘れてしまっていたのです。あの団子がないと頑張れない、仲間ができないと思っていたもんもん太郎は、結果的に仲間になっている動物を見て、そんなインセンティブがなくてもついて来るやつはついて来ると感じました。
結果仲間の戦力に不安を感じ、もんもんとしたもんもん太郎は、鬼ヶ島へ向かいはしますが、鬼ヶ島で行われていた野球の試合を見て帰ることにしました。もんもん太郎は野球のことなんて全く知らなかったのですが、鬼ヶ島で行われている試合では鬼たちは割と静かに自分たちのペースで野球を楽しんでいました。
球場はスタジアムスタイルで天然芝、美しい緑に内野の赤土がよく映えていました、デーゲームで天気もよく、最高の観戦日和、ちょっと高いけどかわいい売り子を選んでビールなんかも買ったりして。
日本のように太鼓を叩いたり、ラッパを鳴らしたりしない、メジャーリーグの試合観戦と同じスタイルだったのです。
そこでもんもん太郎は気づいたのです。
俺はこのスタイルで野球を見るのが好きだ。
そして村にやって来る鬼たちはあくまで一部の野球ファンなんだ。だから鬼たちの中でも特別なんだ。
鬼退治はすべきではない、というか鬼退治なんてしようもんなら大変なことになる。
もんもん太郎はこの文化を自分の村にも根付かせようとしました、そしてプロ野球への参入をすることを決意したのです。
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めでたしめでたし。