ハラダプライベート

まっこと愉快なプライベート空間

飛び出す痰と、ハンドスピナー

近所のギトギト豚骨ラーメンを食べた。

調子に乗って半チャーハンまでつけた。

 

高糖質・高脂肪。高糖質・高脂肪。

高カロリー、塩分過多。

上がるテンション、上がる血圧。

下がる健康意識、翌朝のだるさ。

 

そんなものは忘れて一心不乱に食べた。

替え玉もした。腹をいっぱいにしたかった。

 

890円、客単価の平均値を上げるお会計をすませ、歩いて帰る。

 

喉が絡む、痰だ。

口の中にでかい痰が溜まってしまった。

 

たまらずベッと吐いた痰はクルクル回った、ハンドスピナーみたいに回り続けた。

回りながらゆるい弧を描いた。現役時代の小久保裕紀のホームランような美しいアーチ。

現役という言葉で思い出すのはやっぱり「プロ野球選手」と「女子大生」くらいなもんだ。

すれ違う「元」現役女子大生が痰を吐いた俺を侮蔑する目で睨みつける。週刊文春で不倫が報じられた有名人を見るような目で俺を見る。心の中の声が顔に全部出る、顔面電光掲示板に無機質なドット文字が右から左にスライドしていく。「なにこいつ痰吐いて、きたない、臭い、気持ち悪い、次は不快、不快駅に停まります。」どうか快速であってほしい、俺の駅なんか一個くらい飛ばしてほしい。特急なんて贅沢は言わない。

 

ハンドスピナーは回り続ける。

 

ニューヨークで流行り始めたこのおもちゃは瞬く間に日本でも流行った。ベアリングが内蔵されてていて、ただただ回るだけのシンプルなおもちゃ。これはそもそもおもちゃなのか?最近あまり名前を聞かなくなってしまった。爆発的に話題になったからか。走り去るように消えてしまうのか?10年後こういうおもちゃがあったね懐かしいねと言って終わるのか?そんなんじゃ寂しすぎる、虚しいだけじゃないか。てか俺んちにあったハンドスピナーどこいったっけ?まあいっか。

 

ハンドスピナーは着陸体制にむけ、少しづつ下降を始める。

 

2.3秒のフライトはあっけなく、福岡〜天草間の飛行みたいなもんだ、いやいやそんなことはない、これは移動するためのフライトではない。お客さまに存分に楽しんでいただくための素晴らしい時間だ。そう、移動から旅行は始まっている。だから、思い出に残るフライトを。ご登場いただき、誠にありがとうございます。ハンドスピナー号TAN931便は間もなく、着陸いたします。

 

柔らかいハンドスピナーは地面に着くと形を失って、ただの痰になった。