たぶん昔、おじいさんとおばあさんが山あいの人があまりいない、かなりの田舎に二人で住んでいた。
子供は、むすこ(29歳)とむすめ(27歳)がいるが、都会に就職してしまい、今は2人である。
子供たちは本当に手のかからないいい子で、反抗期とかもあったかないかよくわからないほどであったため、じつのところはじいとばあの二人は少し物足りなさを感じていた。
二人はそのことを言わないまでも、空気感でなんとなく気持ちは共有できていた。
そんなある日のことである、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に向かった。
それが、二人の日常である、ルーチンワークである、なんでもない日のいつもの洗濯だったはずだった。
おばあさんが洗濯をしていると、くそぶらこ、くそぶらこと川上のほうからそれはもうでっかいハナクソが流れてきたのだ。
桃じゃねえのかよ!おばあさんはそう思い、舌打ちした。それにびっくりした森の鳥達が一斉に飛んでいった。
しかし、逆にだけど、ここで普通に桃が来ても面白くないよな、こんなでかいハナクソ見たらじいさんたまげるぞ〜、とばあさんはそう思い持ち帰ることにした。
ただ、こんなもんさわりたくない、どうしよう、まあいいか。ばあさんはもう開き直って素手で持ち帰った、ばあさんは無の境地というものを知った。
さて、ばあさんも家に帰りつき、じいさんが帰ってきた訳だが、言うまでもなくじいさんはぶったまげた。
ばあさんのセンスに、だ。こんなもん見つけても普通なら持って帰ってこないだろ、相当刺激が欲しかったんだなこのばあさん、そう思った。
じいさん「すごいな、これ、とりあえず中に子供が入ってるパターンだよな?」
ばあさん「そうだと思う、さっそくいきますか?」
じいさん「パッカーンね!」
と言う訳で、パッカーン。
さあ、出てきた!!
普通の子供が出てきた、かなりがっかりした。しかしその子は二人の生活を支えるようになる。
なにでかというと、人のハナクソほじりである。この子供、ハナクソをほじらせたら日本一、ボッコシでっかいのがとれるとれる。とれるだけではない、ハナクソと一緒にその人の持つ悪い病気などを取りのぞいてしまうのだ。
その子いわく、人の鼻の穴には1万以上もツボがあり、それをしっかりと押していくことであらゆる病気もたちまちほじりきってしまうのだそうだ。
それからその子は「ハナクソほじり太郎」と呼ばれるようになった。じいとばあがつけた本名は「天守閣」とかいて「ノブナガ」と読んだ。いわゆる綺羅綺羅名前だった。
この鼻の穴治療で儲けに儲けたじいばあはまあ〜いい暮らしをしていた。
車は外車だし、もちろん高層マンション(60,000階建ての上層階)、ハブりよく暮らしていたそうな。
そんなある日のこと、ハナクソほじり太郎が急に診察をしたくないと言い出した、昔話らしく鬼を退治したいと。
じいばあは反対した、いやお金はもう十分あったから金銭的にはではなく、ハナクソほじり太郎の戦闘スキル的な面を心配した。
それもそのはず、ハナクソほじり太郎は人の鼻をほじることしかしてこなかったため、ケンカの一つもろくにできないのだ、ほじり太郎自身もそのことがなかりコンプレックスだったらしく、強い男になりたいと思ったそうな。自分の人生鼻をほじるばかりではつまらんので、カッコイイことをして「華」をそえたいんだそうな。いつか思い出をほじくり返したときのために。